大型犬を見送った日、一番困ったのは、悲しむ時間がないことでした。
私はシベリアンハスキーの一家、5頭と暮らし、5頭すべてを見送りました。病院で亡くなった子、手術中に急逝した子、自宅から自分で火葬を手配した子。5回の見送りはそれぞれ違いましたが、共通して言えることがひとつあります。
ペットの火葬は、人間のお葬式と違って「考える時間」をくれません。
この記事では、大型犬の火葬費用の相場と、私が5回の見送りで経験したこと・後悔していることをまとめます。いま元気な子と暮らしている方にこそ、読んでほしい内容です。

ペットの火葬が人間のお葬式と決定的に違うこと
人が亡くなると、葬儀社が遺体を預かり、ドライアイスで安置し、通夜・告別式まで数日の時間があります。その間に家族は気持ちを整理し、段取りを考えられます。
ペットは違います。遺体を預かってくれる仕組みが基本的にありません。亡くなったその瞬間から遺体は自宅にあり、火葬の手配は飼い主がその日のうちに動くことになります。
私も、自分で手配した2回は比較検討など一切できませんでした。ネットで検索して、一番最初に目についた、家から近くて早く来てくれそうな業者に電話する。それが精一杯でした。
大型犬の火葬費用の相場(体重制)
ペット火葬の料金は体重制です。ハスキーのような20~30kg級の相場は次のとおりです(2026年時点・東京・関東圏の調査ベース。地域・業者により異なります)。
- 合同火葬:4万円前後(他のペットと一緒に火葬。返骨なし)
- 個別一任火葬:4.5~5万円前後(個別に火葬し返骨あり。立ち会いなし)
- 個別立会火葬:5~6万円前後(立ち会い・お骨上げあり)
オプション(骨壺のグレード、お花など)で1~2万円程度加算されることがあります。
私自身の5頭の火葬費用は、正直、正確には覚えていません。数万円から10万円くらいだったと思います。覚えていないこと自体が、あの日々がどれだけ「それどころではなかったか」の証拠だと思っています。
病院で亡くなる場合と、自宅で手配する場合
病院で亡くなった場合(3回):てんかんの発作を繰り返して病院で息を引き取った父犬、併設ホテルに預けている間に亡くなった母犬、避妊手術中に急逝した娘。いずれも病院が火葬業者を紹介してくれ、その流れで手配しました。父犬はその日のうちに火葬でした。
自宅から自分で手配した場合(2回):病気で亡くなった息子と、癌で亡くなった娘。この2回が、冒頭に書いた「検索して最初の業者に即決」の経験です。
病院経由は段取りの負担が軽い一方、業者もプランも選べません。自分で手配する場合は選べるはずなのに、実際には選ぶ余裕がない。どちらのルートでも「事前に決めてあったかどうか」がすべてでした。
大型犬ならではの現実
体重25kg超の犬の見送りには、小型犬とは違う問題があります。
- 抱き上げられない。亡くなった子の体は、生きているときより重く感じます。移動には大人の人手が要ります
- 安置場所。広い部屋がない住まいでは、夏場の保冷も含めて安置自体が難題です
- 家族だけで対応する可能性。飼い主が仕事や出張で不在の日に、家族だけで対応できる準備が必要です
- 残された犬たちへの配慮。多頭飼いの場合、仲間の死を他の犬にどう見せるかという問題にも直面します
遺骨のこと:私は10年以上、決められなかった
火葬が即決を迫られるのと対照的に、遺骨は無限の先延ばしができてしまいます。
私は遺骨を手放せないまま、10年以上自宅で保管しました。それ自体は悪いことではありません(手元供養という立派な選択肢です)。問題は、「いつか、どうするか」を考えないまま保管し続けたことでした。
転機は家のリフォーム。置き場所の都合で納骨を決めましたが、いざ探すと、受け入れてくれる納骨堂は地方にしかなく、結局、家から到底通えない遠方のお寺に預けることになりました。今も、なかなか会いに行けていません。
納骨堂の費用相場は、納骨時の費用に加えて年間管理費が数千円~3万円程度。合同墓地なら管理費がかからないことが多いなど、選択肢ごとに費用も性質も違います。元気なうちに調べておけば、「通える場所」という一番大事な条件で選べたはずです。

一番の後悔と、やってよかったこと
一番の後悔は、「どう見送るかを考える時間」を作らなかったことです。準備がなかったせいで、火葬はただの“作業”になってしまった。遺骨のことも考えないまま十数年が過ぎ、結果として、会いに行けない場所への納骨になりました。
一方で、やってよかったこともあります。できる限り家族を集めて送れたこと。人間のお葬式と同じで、見送りは家族が集まるきっかけになります。あの日、家族で昔話ができたことは、いまも救いです。
元気なうちに決めておく3つのこと
- 火葬業者を決めておく。元気なうちに2~3社の料金と対応エリアを見て「うちはここに頼む」と決めておく
- 安置場所と人手を決めておく。大型犬は一人では動かせません。自分が不在の日に誰が対応するかまで
- 遺骨の方針を決めておく。手元供養でもいい。ただ「いつまで手元に置き、その後どうするか」だけは家族で話しておく
わが家のように「その日」に慌てて検索しないために、全国対応で事前相談ができるペット葬儀サービスに、一度電話で話を聞いておくのも一つの備えです。
まとめ
ペットの見送りは、準備していなければ“作業”になり、準備していれば“儀式”になります。この違いは、あとから取り返しがつきません。
うちのプードルは今日も元気です。それでも私は、もう決めてあります。ハスキーたちに教わったからです。
参考(料金相場の出典):ペットライフコラム(関東圏20社調査)/ペトリィ「大型犬の火葬・葬儀の費用相場」/ミーツモア「ペットの納骨料金」
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